早期退職してから、7年以上が経ちました。
退職後の暮らしについて書かれた記事やYouTube動画を、時々目にすることがあります。
そこでは、
「退職したら趣味を持ちましょう」
「社会とのつながりを大切にしましょう」
「人との交流を増やしましょう」
「家に閉じこもらないようにしましょう」
といったことがよく言われています。
もちろん、それが自分に合っている人なら、やればいいと思います。
ただ私は、こういうものを見るたびに少し疑問を感じます。
本当に、みんながそうしなければならないのでしょうか。
人によって性格も違います。
家族構成も違います。
何を楽しいと感じるのかも違います。
それなのに、退職後の暮らしだけ、みんなに共通する「正しい生き方」があるように語るのは、少し違うんじゃないかと思うのです。
私が一番よく見るのは「社会とのつながりを持ちましょう」
退職後についての記事や動画で、特によく目にするのが、
「社会とのつながりを持ちましょう」
というアドバイスです。
人は一人では生きていけない。
会社を辞めると人との接点が減る。
だから、趣味などを通じて積極的に人と交流しましょう。
そんな話です。
例えば、コーヒーが趣味だったとします。
一人でコーヒーを飲むだけではなく、焙煎などのイベントに参加したり、講習会へ行ったりして、同じ趣味を持つ人との交流を増やしていく。
それによって退職後も社会とのつながりを持つ。
そういう考え方です。
確かに、人と一緒にコーヒーを楽しみたい人には、とてもいい方法だと思います。
でも私は、そこで思ってしまいます。
一人でコーヒーを飲むのが好きなら、それでいいんじゃないの?
一人で楽しめるなら、それで終わってもいい
コーヒーが好き。
自分で豆を挽いて、好きなときに淹れて、一人でゆっくり飲む。
それで本人が満足しているのであれば、私はそれで十分だと思います。
もちろん、
「ほかの人はどうやって淹れているんだろう」
「コーヒーが好きな人と話してみたいな」
と思ったのであれば、イベントや講習会へ行けばいい。
そこで友達ができるかもしれません。
それも楽しいでしょう。
でも、
「退職したら社会とのつながりを持たなければならないから、コーヒー仲間を作ろう」
となると、私には少し順番が逆のように感じます。
社会とつながるために、趣味を利用する必要はないと思うのです。
自分がやりたいことをやっていたら、結果として人とのつながりができた。
それなら自然です。
できなかったとしても、一人で楽しめているのであれば、それでいいんじゃないでしょうか。
私は7年以上、積極的に人とのつながりを作ってこなかった
私自身、49歳で早期退職してから7年以上になります。
その間、
「会社を辞めたのだから、新しい友達を作らなければ」
「何かの集まりに参加しなければ」
と思ったことはありません。
そして今のところ、
「もっと社会とのつながりを作っておけばよかった」
と思ったことも一度もありません。
ただし、これは今の私の状況だから言えることでもあります。
私には妻がいます。
少し前までは母もいました。
私は決して、ずっと一人で生活してきたわけではありません。
だからこそ、わざわざ外へ出て新しい人間関係を作る必要性を感じていないのかもしれません。
ここは大切なところだと思っています。
私は、
「退職したら社会とのつながりなんて必要ない」
と言いたいわけではありません。
将来、一人になったら考え方が変わるかもしれない
これから先のことは分かりません。
母はもういません。
そして、いつか妻もいなくなるかもしれません。
そのとき、一人になった私がどう感じるのかは、今の私には分かりません。
誰かと話したくなるかもしれない。
外とのつながりが欲しくなるかもしれない。
趣味を通じて人と知り合いたいと思うかもしれません。
そうなったら、そのときにやればいいと思っています。
今は必要ない。
でも、将来は必要になるかもしれない。
それでいいんじゃないでしょうか。
「老後には社会とのつながりが必要らしいから」と、今の自分が必要とも思っていない人間関係を、先回りして無理に作る必要はないと私は思っています。
ご近所さんとは普通に挨拶をする
もちろん、私は誰とも関わらずに生活しているわけではありません。
ご近所さんと会えば挨拶をします。
場合によっては少し話すこともあります。
そういうものも、広い意味では社会とのつながりなのかもしれません。
ただ、私自身はそれを、
「社会とのつながりを維持するためにやっている」
とは考えていません。
ご近所さんと会ったら挨拶する。
機会があれば少し話す。
人として普通に暮らしているだけです。
それくらいの緩いつながりで十分だと感じる人もいるでしょう。
もっと深く人と付き合いたい人もいるでしょう。
どちらでもいいと思います。
「正しい退職後」を目指すと、また苦しくならないだろうか
私が退職後の指南書のようなものを見ていて一番気になるのは、ここです。
会社員として長く働いていると、
「これをしなければならない」
ということがたくさんあります。
会社へ行かなければならない。
仕事をしなければならない。
目標を達成しなければならない。
人間関係にも気を使わなければならない。
退職すると、そういうものから離れられます。
ところが今度は、
「退職したら趣味を持たなければならない」
「友達を作らなければならない」
「社会とつながらなければならない」
「毎日を充実させなければならない」
と考え始めたら、どうでしょう。
せっかく会社の「しなければならない」から離れたのに、今度は自分で新しい「しなければならない」を作ってしまうことになります。
それが自分に合っていれば問題ありません。
でも、合わなかったら苦しくなるんじゃないでしょうか。
指南書が間違っているとは思わない
私は、退職後について書かれた指南書や記事が間違っていると言いたいわけではありません。
社会とのつながりを持つことで、毎日が楽しくなる人もいるでしょう。
新しい趣味を始めることで、生き生きする人もいるでしょう。
退職後に友達ができて、「参加してよかった」と思う人もいるでしょう。
その人には、そのアドバイスが合っていたということです。
問題は、それを全員に当てはまる正解だと思ってしまうことだと思います。
ある人にとって良い方法が、自分にも良いとは限りません。
人と一緒にいることで元気になる人もいれば、一人でいる方が落ち着く人もいます。
予定がたくさんある方が楽しい人もいれば、何も予定がない方が楽しい人もいます。
退職後も働きたい人もいれば、私のように働かなくてもまったく困らない人もいます。
どちらが正しいという話ではありません。
「本当に、そうなのかな?」と一度考えてみる
もし退職して、
「友達を作らなきゃ」
「趣味を見つけなきゃ」
「社会とつながらなきゃ」
と焦っている人がいたら、私はこう問いかけると思います。
「本当に、そうなのかな?」
本当に友達が欲しいのでしょうか。
本当に趣味を見つけたいのでしょうか。
本当にもっと人と関わりたいのでしょうか。
自分がそう思っているのであれば、やればいいと思います。
でも、
「退職後はそうした方がいいと書いてあったから」
という理由だけなら、一度立ち止まって考えてみてもいいんじゃないでしょうか。
自分は本当はどうしたいのか。
一人でコーヒーを飲んでいる時間が幸せなら、それでいい。
誰かと一緒に飲みたくなったら、そのとき誰かを探せばいい。
今は一人が心地よくても、10年後には人とのつながりが欲しくなるかもしれない。
そのとき考えればいい。
退職後まで、誰かの正解に合わせなくてもいい
私は最近、
Aでもいいし、Bでもいい
と思うことが増えました。
社会とつながってもいい。
つながらなくてもいい。
趣味があってもいい。
なくてもいい。
友達がたくさんいてもいい。
いなくてもいい。
今は必要なくても、将来必要になるかもしれない。
考えが変わったら、そのとき変えればいい。
退職後の指南書やYouTubeを見ること自体は、悪いことではないと思います。
自分では思いつかなかった生き方を知るきっかけになることもあるでしょう。
ただ、それをそのまま「正解」にする必要はありません。
参考にしてみて、
「これは自分にも合いそうだな」
と思えば取り入れる。
「これは自分には違うな」
と思えば、やらない。
それくらいでいいのではないでしょうか。
会社を辞めたあとまで、誰かが作った「正しい生き方」に自分を合わせる必要はない。
少なくとも私は、そう思っています。
退職後をどう生きるか。その答えくらい、自分で決めてもいいんじゃないでしょうか。


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