「老後には2,000万円必要」
こんな言葉を聞いたことがある人は多いと思います。
老後が不安だから、できるだけ長く働く。
60歳を過ぎても働く。
65歳まで働く。
場合によっては70歳まで働く。
もちろん、働きたい人は働けばいいと思います。
仕事が楽しい。
人と接するのが好き。
働くことが生きがいになっている。
あるいは、生活するために働く必要がある。
それなら、働くことに何の問題もありません。
でも、
本当は仕事を辞めたい。
それなのに、
「老後には2,000万円必要らしいから」
という理由だけで、嫌な仕事を続けているのなら、一度考えてみてもいいのではないでしょうか。
あなたの老後に、本当に2,000万円必要なのでしょうか。
今回はそんな話です。
- そもそも「あなた」に2,000万円必要なのか
- 計算したら、1,500万円で足りるかもしれない
- 1,800万円必要なら、63歳で辞められるかもしれない
- 60代の2年間、3年間は後から取り戻せない
- 今の会社を辞めたら、無収入になるとは限らない
- 「今の会社で働く」か「完全に働かない」かではない
- 2,000万円貯まったら、本当に安心できますか?
- 「いくらあれば安心か」より、「なぜ不安なのか」
- 私はライフプランを作った
- 5,000万円必要なら、7,000万円を目標にしてもいい
- お金の安心に上限を作らないと、いつまで働くのか
- 私は「2,000万円はいらない」と言いたいわけではない
- 「みんなが働いているから」で、自分の人生を決めなくていい
- 老後資金より先に、自分の人生を計算してみる
そもそも「あなた」に2,000万円必要なのか
例えば、60歳で1,500万円の貯金がある人がいたとします。
仕事はもう辞めたい。
でも、
「老後には2,000万円必要らしい。あと500万円足りないから、65歳まで働こう」
と考えている。
私なら、まずこう聞くと思います。
「あなたは1,500万円では生活できないんですか?」
2,000万円という数字が間違っていると言いたいわけではありません。
2,000万円必要な人もいるでしょう。
3,000万円必要な人もいるでしょう。
逆に1,500万円で十分な人もいると思います。
生活費も違います。
もらえる年金も違います。
持ち家なのか賃貸なのかでも違います。
旅行へたくさん行きたい人と、あまりお金を使わない人でも違います。
人によって条件が違うのに、
老後に必要なお金だけが、全員同じ2,000万円になるはずはありません。
だから、まず自分の場合はいくら必要なのかを計算してみた方がいいと思います。
計算したら、1,500万円で足りるかもしれない
先ほどの60歳で1,500万円持っている人が、実際に老後の生活を計算してみたとします。
毎月の生活費はいくらなのか。
年金はいくらもらえるのか。
家の修繕にはいくら必要なのか。
車はいつまで乗るのか。
医療費などに、どのくらい余裕を持たせるのか。
そういったものを一つずつ考えていく。
すると、
「1,500万円でも大丈夫そうだ」
となるかもしれません。
それなら、
2,000万円にするために、嫌な仕事をあと5年間続ける必要はあるのでしょうか。
もちろん、
「それでも2,000万円あった方が私は安心できる」
というのであれば、それでいいと思います。
本人が納得して働くのであれば問題ありません。
でも、
「世間で2,000万円と言われているから」
という理由だけなら、私は少しもったいないと思います。
1,800万円必要なら、63歳で辞められるかもしれない
逆に、計算してみたら1,500万円では少し足りなかったとします。
でも、必要なのは2,000万円ではなく、1,800万円だった。
それならどうでしょう。
65歳まで働く必要はなくなるかもしれません。
63歳くらいまで働けば、自分が必要だと思う金額に届くかもしれない。
60歳で辞めるか、65歳まで働くか。
そんな二択で考える必要はありません。
61歳でもいい。
62歳でもいい。
63歳でもいい。
自分に必要なお金が分かれば、
「何歳まで働けばいいのか」も、自分で決められるようになります。
世間が決めた定年に、自分の人生を合わせる必要はないと思います。
60代の2年間、3年間は後から取り戻せない
私は、ここは結構大事だと思っています。
例えば、本当は63歳で仕事を辞めても大丈夫だった。
でも、
「何となく不安だから」
という理由で65歳まで働いた。
もちろん、その2年間でお金は増えるでしょう。
でも、
63歳から65歳までの2年間は戻ってきません。
お金は後から増やせる可能性があります。
でも、時間は戻せません。
特に年齢を重ねてくると、同じ2年間でも意味が変わってくると思います。
60代でできたことが、70代でも同じようにできるとは限りません。
旅行へ行く体力も変わるでしょう。
食べられる量も変わるでしょう。
車の運転だって、いつまでできるか分かりません。
だから私は、
お金だけでなく、残された時間も一緒に考えた方がいい
と思っています。
今の会社を辞めたら、無収入になるとは限らない
もう一つ、私が不思議に思うことがあります。
仕事が嫌で辞めたい。
でも老後資金が少し足りない。
そうなると、
「嫌だけど今の会社で65歳まで働くしかない」
と考えてしまうことです。
本当にそうでしょうか。
今の仕事が嫌なら、辞めて別の仕事をする方法もあります。
正社員でなくてもいい。
アルバイトでもいい。
今までより収入が下がったとしても構わないかもしれません。
例えば、すでに1,500万円の資産があって、それだけでも何とか生活できる。
ただ、もう少し余裕が欲しい。
それなら、生活費のすべてを仕事で稼ぐ必要はありません。
月に数万円でも収入があれば、資産が減るスピードを抑えることができます。
それによって不安が小さくなるのであれば、
嫌な仕事を続けるのではなく、負担の少ない仕事へ変える
という方法もあると思います。
「今の会社で働く」か「完全に働かない」かではない
私は49歳で会社を辞め、その後は会社員として働いていません。
でも、だからといって、
「みんな仕事なんて辞めればいい」
とは思いません。
その人にお金が足りないのであれば、働くことは大切です。
ただ、
今の会社で働き続けるか、完全に無職になるか。
この二つしか選択肢がないわけではありません。
今の仕事を続ける。
転職する。
アルバイトをする。
週に数日だけ働く。
生活費の一部だけを稼ぐ。
資産を少しずつ取り崩しながら働く。
いろいろな方法があります。
資産がある程度できているなら、若いころと同じように「生活費のすべてを仕事で稼ぐ」という考え方から離れてもいいのではないでしょうか。
足りない分だけ働く。
そんな考え方があってもいいと思います。
2,000万円貯まったら、本当に安心できますか?
そして、もう一つ考えてみたいことがあります。
老後が不安だから2,000万円貯める。
では、2,000万円貯まったら、本当に安心できるのでしょうか。
2,000万円になったら、
「やっぱり3,000万円くらいあった方が安心だ」
と思うかもしれません。
3,000万円になったら、
「5,000万円あれば安心なのに」
と思うかもしれません。
5,000万円になったら、
「1億円あれば何があっても大丈夫だ」
となるかもしれません。
でも、こういうふうに安心のために必要なお金がどんどん増えていく人は、
おそらく1億円持っていても不安なのではないでしょうか。
なぜなら、「いくら必要なのか」という基準がないからです。
「いくらあれば安心か」より、「なぜ不安なのか」
私は、お金の不安があるとき、
「もっとお金を増やそう」
と考える前に、
「自分は、なぜ不安なのだろう」
と考えてみることが大切だと思っています。
老後の生活費が分からないから不安なのか。
年金がいくらもらえるか分からないから不安なのか。
家の修繕費が心配なのか。
病気になったときのお金が心配なのか。
長生きすることが心配なのか。
不安の正体が分からないままでは、必要なお金も分かりません。
だから、いくら貯めても、
「まだ足りないかもしれない」
となってしまいます。
私はライフプランを作った
私は早期退職する前に、ライフプランを作りました。
自分たちがどのくらいのお金を使うのか。
これからどんな支出があるのか。
将来どのくらいの収入があるのか。
それらを考えて、100歳までのお金を計算しました。
その結果、私の場合は約4,500万円あれば早期退職できると判断しました。
だから49歳で会社を辞めました。
もちろん、未来のことを100%予測することなんてできません。
想定外のことは起こります。
だから余裕も必要です。
でも、
分からないから無限に貯める
のと、
自分なりに計算したうえで余裕を持たせる
のとでは、私はまったく違うと思っています。
5,000万円必要なら、7,000万円を目標にしてもいい
例えばライフプランを作った結果、
「自分は死ぬまでに5,000万円くらい必要だ」
と分かったとします。
でも、
「5,000万円ぴったりでは少し怖い」
と思う。
それなら6,000万円でもいい。
7,000万円でもいいと思います。
安心できるように余裕を持たせることは悪いことではありません。
私が言いたいのは、
必要額を計算せず、何となく1億円ないと不安だと思うこととは違う
ということです。
5,000万円必要だから7,000万円持っておこう。
そこには自分なりの根拠があります。
そうすれば、
「ここまで貯まったら、もう十分」
という線も引きやすくなります。
お金の安心に上限を作らないと、いつまで働くのか
お金は多い方が安心です。
1,000万円より2,000万円。
2,000万円より5,000万円。
5,000万円より1億円。
金額だけを見れば、多い方が安心なのは当然だと思います。
でも、そのお金を作るために何かを差し出しています。
それが、
自分の時間です。
働くことが楽しいなら問題ありません。
仕事が好きなら、70歳でも80歳でも働けばいいと思います。
でも、本当は辞めたい。
毎朝会社へ行くのがつらい。
早く自由になりたい。
それでも、
「お金は多い方が安心だから」
という理由だけで働き続ける。
その場合は、一度考えてみてもいいのではないでしょうか。
その安心のために、自分の時間をどこまで使うのか。
私は「2,000万円はいらない」と言いたいわけではない
ここは誤解してほしくないところです。
私は、
「老後に2,000万円なんて必要ない」
と言っているわけではありません。
人によっては2,000万円でも足りないでしょう。
逆に、それほど必要ない人もいるでしょう。
大切なのは、
自分の場合はいくら必要なのか
だと思います。
そして、必要なお金が足りないのであれば働く。
足りているのであれば、辞めることも考える。
少しだけ足りないのであれば、負担の少ない仕事で補うことも考える。
それを自分で選べばいいのではないでしょうか。
「みんなが働いているから」で、自分の人生を決めなくていい
定年後も働く人が増えています。
周りを見れば、
「65歳まで働くのは当たり前」
「元気なら70歳まで働いた方がいい」
そんな雰囲気もあるかもしれません。
でも、みんなが働いているから自分も働かなければならないわけではありません。
働きたい人は働けばいい。
お金が必要な人も働けばいい。
でも、
働きたくない人まで、みんなに合わせて働く必要はない
と私は思います。
人生は人それぞれです。
必要なお金も違います。
幸せだと思う生活も違います。
何歳まで働きたいかも違います。
だったら、仕事を辞める年齢だって違っていいはずです。
老後資金より先に、自分の人生を計算してみる
「老後には2,000万円必要」
そんな数字を見たとき、
「あといくら貯めなければ」
と考える前に、一度自分の生活を計算してみてはどうでしょうか。
1,500万円で足りるかもしれません。
1,800万円必要かもしれません。
3,000万円必要かもしれません。
計算して3,000万円必要なら、そこを目指して働けばいい。
それなら、自分で納得して働けると思います。
でも、本当は1,500万円で十分だったのに、
「老後は2,000万円必要らしい」
という理由だけで、嫌な仕事を何年も続けてしまったら。
私は、その方がもったいないように思います。
お金は大切です。
老後への備えも大切です。
でも、時間も同じくらい大切です。
特に60代の一年、二年、三年は、後になってお金で買い戻すことはできません。
だから私は、
「老後にいくら必要なのか」だけではなく、「そのお金のために何年働くのか」まで一緒に考えた方がいい
と思っています。
2,000万円という数字に、自分の人生を合わせるのではなく、
自分の人生を考えて、自分に必要な金額を出す。
そのうえで、
働くのか。
辞めるのか。
別の仕事をするのか。
少しだけ働くのか。
自分で決めればいい。
「みんながそうしているから」ではなく、自分で計算して、自分で決める。
私は、それでいいのではないかと思っています。


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