こどもNISAで、社会人になる時点ですでに「資産格差」が生まれるのではないか

人間関係・家族・孤独

こどもNISAについて考えていて、少し気になったことがあります。

それは、子どもが社会人になる時点で、すでにかなりの「資産格差」ができてしまうのではないか、ということです。

もちろん、親にお金がある家庭と、そうでない家庭の差は昔からあります。

しかし、子どものころからNISAを使って長期間運用する家庭が増えると、その差が今まで以上にはっきり数字として表れるようになるのではないでしょうか。

年60万円でも、長期間運用すると大きなお金になる

2027年から、18歳未満でもNISAを利用できる制度が始まる予定です。

年間投資枠は60万円で、非課税保有限度額は600万円です。

仮に0歳から毎年60万円ずつ投資すると、10年間で元本は600万円になります。

そして、そのお金を年利5%程度で長期間運用できたとします。

もちろん毎年5%で増える保証はありません。

それでも長期投資という前提で考えると、18歳になるころには1,000万円を超えるくらいの資産になっていても不思議ではありません。

さらに、そのまま運用を続ければ、22歳ではもっと増えている可能性があります。

私はここが非常に大きいと思っています。

社会人になった瞬間からスタート地点が違う

大学を卒業して22歳で社会人になるとします。

一人はほとんど資産を持っていない。

もう一人は1,000万円以上の金融資産を持っている。

同じ22歳でも、スタート地点がまったく違います。

1,000万円持っているから幸せになれる、という単純な話ではありません。

ただ、お金があれば人生の選択肢は増えます。

例えば、給料だけを基準に仕事を選ばなくてもよくなるかもしれません。

自分に合わない会社だったら辞める。

給料は少なくても自分のやりたい仕事をする。

勉強をするために仕事を休む。

そういう選択もしやすくなります。

私自身、早期退職してみて、お金があることの大きな意味は「たくさん物を買えること」ではなく、嫌なことをしなくてもいい選択肢を持てることだと感じています。

若いうちからある程度の資産を持っていれば、働き方についても選択肢が増えるのではないでしょうか。

金融リテラシーがあれば、さらに差が広がるかもしれない

さらに、その子に金融知識があったらどうでしょう。

親が作ってくれた資産をただ使うのではなく、そのお金を元手にさらに投資することもできます。

もう少し積極的な投資をする。

不動産投資をする。

あるいは、自分で事業を始める。

もちろん、どれも成功するとは限りません。

むしろ大きなお金を持っていることで、大きな失敗をする可能性もあります。

だから、お金だけ渡せばいいとは思いません。

金融教育も必要だと思います。

それでも、若いうちに「挑戦するためのお金」があることは、かなり大きなアドバンテージになるでしょう。

そして、そこで資産をさらに増やすことができれば、親の経済力によって生まれた最初の差が、その後さらに広がっていく可能性もあります。

では、18歳で大きなお金を渡すのが本当にいいのか

ここまで考えて、もう一つ疑問が出てきました。

子どもに資産を作ってあげるとして、それを若いうちに渡すことが本当にいいのか、ということです。

例えば18歳で、

「あなたには1,000万円以上の資産があるよ」

と教える。

これは、その子にとって非常に大きな安心になるでしょう。

一方で、必ずしも良いことばかりではないような気もします。

まだ働いた経験もほとんどない年齢で大きなお金を持てば、お金のありがたさが分からないかもしれません。

「自分にはお金があるから大丈夫」

と思ってしまう可能性もあります。

そう考えると、若いうちに資産を持たせることが本当にその子のためなのか、私は少し迷います。

40歳、50歳になってから渡すという考え方もある

そこで、まったく逆の方法も考えてみました。

子どもが若いうちは、自分で働いて、自分で生活して、自分で資産を作ってもらう。

親のお金を当てにしない人生を送ってもらいます。

そして親が資産を運用し続ける。

子どもが40歳、50歳くらいになったところで、その資産を渡す。

そんな方法です。

例えば600万円を年5%で長期間運用できたとすれば、数十年後にはかなり大きな金額になります。

40歳、50歳であれば、おそらく18歳のころよりもお金の価値も分かっているでしょう。

住宅、子どもの教育、老後など、人生に必要なお金も具体的に分かってくる年齢です。

その時に大きな資産を受け取るほうが、有効に使えるのかもしれません。

ただし、これは「こどもNISAの口座を親が50歳まで隠しておく」という意味ではありません。

18歳以降は成人向けNISAへ移行する仕組みですから、40歳、50歳まで親側で資産を管理して後から渡したいのであれば、親自身の資産として運用し、将来の贈与や相続を考える話になります。

税金の問題もありますので、ここはNISAとは分けて考える必要があります。

私なら、いつ渡すだろう

結局、正解はないと思います。

18歳や22歳で渡して、人生の可能性を広げてあげる。

これも一つの考え方です。

一方で、自分自身で働き、お金を稼ぐ大変さを経験してから、40歳や50歳で渡す。

これも一つの考え方でしょう。

私は今回こどもNISAについて考えていて、制度そのものよりも、こちらのほうが気になってしまいました。

子どもにお金を残すなら、いつ渡すのが一番その子のためになるのだろう。

若い時に1,000万円あることで、普通ならできなかった挑戦ができるかもしれない。

その一方で、お金があることで経験できなくなることもあるかもしれない。

私自身、早期退職して、お金によって人生の選択肢が増えることを実感しました。

だからこそ、若い人にも選択肢を持たせてあげたいという気持ちはあります。

でも、お金は多ければ多いほど、早く渡せば早いほどいい、とも思いません。

資産を作ってあげること以上に、

「その資産をいつ本人に任せるのか」

のほうが難しい問題なのかもしれません。

こどもNISAをきっかけに、そんなことを考えました。

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