「子どもが成人したら、あとは自分たちの人生」
49歳で早期退職し、夫婦で綿密なライフプランを立てながら生活してきた私たちは、そう思っていました。しかし現実は、それほど簡単ではありませんでした。
成人した息子から、そして後にはお嫁さんから、度重なるお金の相談を受けることになったのです。
「親はどこまで子どもを助けるべきなのか?」
早期退職して7年以上が経った今でも、私の中でこの問いに完全な答えは出ていません。今日は、今までに我が家で起きたトラブルの背景と、親としてのリアルな葛藤をお話しします。
1. 息子が借金を重ねてしまった背景とリアルな経緯
実は息子は子どもの頃からお金の使い方があまり上手ではありませんでした。一方、同じように育てた娘はコツコツ貯めるタイプ。同じ親が育ててもこれほど違うものかと驚かされました。
息子がお金に困るようになったのは、性格的な「断れない弱さ」と「見栄やプライド」が大きく影響していました。
【我が家で起きた3度のお金の問題と背景】
1度目:友人への借金肩代わり(消費者金融)
└ 状況:友人から「お金に困っている」と頼み込まれ、断れなかった。
└ 背景:自分にも貯金がないのに消費者金融から借りて友人に貸し、その友人が逃亡。本人は反省し、昼は正社員・夜はアルバイトの「Wワーク」で必死に返済しようとしたが、金利の膨らみに追いつかずパンク。
└ 親の対応:本人が汗を流して返そうとした姿勢を考慮し、肩代わり。「二度と人にお金を貸すな」と約束させた。
2度目:住居費(家賃)の滞納と強制退去
└ 状況:職場で役職がつき、部下や後輩ができるようになった。
└ 背景:「自分も上司にやってもらった」という経験から、部下を頻繁に飲み屋や食事に連れて行き、全額奢るようになる。自分の収入に見合わない支出を続け、家賃を何ヶ月も滞納。強制退去となった。送金した住居費も別の支払いに消えてしまった。
└ 親の対応:悩み抜いた末、「もう一度だけ信じる」と決めて援助。
3度目:怪我による収入途絶とお嫁さんからのSOS
└ 状況:結婚し子供が生まれた後、腰を痛めて2ヶ月働けなくなった。
└ 背景:怪我自体は不可抗力だが、「数ヶ月働けなくなったらすぐ生活が破綻する」ほど貯金がゼロだった。根本的なお金の管理能力が変わっていなかった。
└ 親の対応:息子ではなく「お嫁さん」へ生活費を送金。
1度目のときは「友達に裏切られた被害者だし、Wワークまでして返そうとした誠意がある」と思って助けました。ですが今にして思えば、この時点で助けたことが「いざとなったら親が助けてくれる」という甘えの土台を作ってしまったのかもしれません。
2. 実は「お金を出して助ける方」が親としては簡単だった
妻とも何度も話し合いました。困っている我が子を見れば、お金を出して助けてあげたくなるのが親心です。
お金を出してしまえば、目の前の問題はとりあえず解決し、親自身も安心できる。つまり、お金を出す方が圧倒的に「楽」なのです。
しかし、それが本当に子どものためになるのか。それとも子どもの自立を阻む「甘やかし」なのか。その葛藤はずっと消えませんでした。
3. 私の中に生まれた新しい線引き:「誰を助けるためのお金か?」
3度目のお金の問題(怪我による生活困窮)が起きたとき、私は息子ではなくお嫁さんにお金を送りました。
ここで、私の中に明確な「新しい線引き」が生まれました。
「誰を助けるためのお金なのか?」
- 息子の無計画さを、親が何度も穴埋めするためのお金か?
- それとも、お嫁さんと二人の孫が生活していくためのお金か?
息子の自立できていないお金の使い方に原因があったとしても、幼い孫たちに何の責任もありません。だからこそ、「息子を助けるため」ではなく「お嫁さんと孫を守るため」に援助をする、という判断に至りました。
もし今後も同じことが続くなら、私はお嫁さんに離婚という選択肢を勧めるかもしれません。そしてシングルマザーとして孫を育てるのであれば、できる範囲で支援を続けたいと思っています。
| 支援の目的 | 親としての対応 |
| 自立できない息子の穴埋め | 援助しない(限界を迎える前に一線を引く) |
| お嫁さんと孫の生活防衛 | できる範囲で手を差し伸べる |
4. 親にも自分たちの人生(老後)がある
正直に言えば、これ以上親に頼るのであれば、私は息子との縁を切ることまで頭をよぎっています。怒っているからではなく、「これ以上は面倒を見切れない」のが本音だからです。
そして、「縁を切ることで息子が自立する」という淡い期待を持っているからです。
親が子供を助け続けた結果、自分たちの老後資金まで底をついて倒れてしまっては本末転倒です。親が倒れたとき、誰も助けてはくれません。
私自身、入社2年目の頃に仕事上のトラブルで親からお金を借りた過去があります。だからこそ「成人したら一切親を頼るな」とは言いません。不慮の出来事で一時的に困ったときならば、立ち直るために親が助けてもいいと思います。
しかし、それが二度、三度と続くなら、どこかで残酷なまでに線を引く必要があります。
まとめ:助けられるから助ける、では誰も幸せになれない
「成人した子どもをどこまで助けるべきか」
この問いに万人に共通する正しい答えはありません。ただ、一つだけ確かなことがあります。
「助けられるお金があるから助ける」だけでは、親も子どもも絶対に幸せになれないということです。
正直、息子にどう対応すればよかったのか、未だに、答えは見つかりません。
そして、今後、どうすればいいかも分かりません。
自分と感覚の違う息子。
その子も、もうすぐ30歳になります。
立派な大人です。
この辺りで、一線を引こうかと思うこの頃です。


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