私は2019年3月末、49歳で会社を早期退職しました。
退職してから7年以上が経ちますが、会社を辞めたときのことは今でも覚えています。
退職が決まった瞬間にすべての仕事から解放されたわけではありません。最後まで大きな仕事が残っていましたし、実際に「会社を辞めたんだな」と実感したのは、最終出勤日でもありませんでした。
私にとって本当に退職を実感したのは、単身赴任先の家を引き払い、実家へ帰る新幹線の中でした。
退職が決まっていても、2月のイベントまではつらかった
私は2019年3月末に退職することになっていましたが、その前の2月に、お客さんの大きなイベントがありました。
そのイベントに向けて、ずっと準備を進めていました。
退職が決まっているのだから、もう気楽に仕事ができるのではないかと思われるかもしれません。しかし、実際はそんなことはありませんでした。
イベントが終わるまでは、会社を辞めるとか、辞めないとか、そんなことを考える余裕もありませんでした。とにかくイベントを成功させることが最優先で、つらい日々を送っていました。
退職が決まったからといって、目の前の仕事がなくなるわけではありません。最後まで自分が担当している仕事は、きちんと終わらせなければならなかったのです。
イベントが終わったとき、気持ちは半分退職していた
2月のイベントが無事に終わると、かなり気が楽になりました。
次のイベントは、もう私が担当する必要はありません。次の人にお任せすることになります。
それからは、自分のやりたい営業活動をするだけでしたので、ほぼ気楽に仕事をしていたと思います。
正直に言うと、イベントが終わった時点で、気持ちとしては半分退職したような感じでした。
退職が決まった日よりも、最後の大きな仕事が終わった日のほうが、私にとっては大きな区切りだったのかもしれません。
引き継ぎの挨拶で「もう終わるんだな」と実感した
3月に入ってからは、後任の人と一緒にお客さんのところへ行き、引き継ぎの挨拶をして回りました。
そのときが、一番「もう終わるんだな」と感じた場面でした。
今まで自分が担当していたお客さんを、次の人に引き継いでいく。これからは自分ではなく、その人が担当することになります。
長く続けてきた仕事が、少しずつ自分の手から離れていくような感じでした。
とはいえ、寂しくて仕方がないという気持ちではありませんでした。2月のイベントが終わってからは、すでに気持ちがかなり楽になっていたからです。
最後の出勤日は、片付けをして定時に終わった
私の最後の出勤日は、3月20日頃だったと思います。残りの日は有給休暇を使い、3月末で退職しました。
最終日は、営業車や事務所の片付けなどをして過ごしました。
そして、定時に仕事を終えました。
その後、数人でお酒を飲みに行きました。特別なことをしたというより、最後に一緒に飲んで帰ったという感じです。
退職することについて、周囲からよく聞かれたのは、
「辞めてから何するの?」
という質問でした。
多くの人は、会社を辞めたら次の仕事をすると思っているのだと思います。「何するの?」という聞き方でも、頭の中では「次は何の仕事をするの?」という意味だったのかもしれません。
私は「いや、何もしないよ」と答えていました。
すると、ほとんどの人が驚いていました。
「へえ、そうなんだ」
という感じで、そこで話が終わってしまうことが多かったですね。
お金は大丈夫なのかとか、そんなことができるのかといったことを聞かれることは、ほとんどありませんでした。お金のことは聞きにくかったのかもしれませんし、相手が何を考えていたのかは分かりません。
ただ、次の仕事をすると思って質問したら、「何もしない」という予想外の答えが返ってきたので、話の続け方が分からなかったのかもしれませんね。
最終出勤日よりも、単身赴任先を退去した日のほうが実感があった
実は、私は単身赴任をしていました。
最後の出勤を終えたあとも、すぐに実家へ帰ったわけではありません。残りの有給休暇を使いながら、単身赴任先の家の片付けをしていました。
そして、3月末頃にその家を退去し、新幹線で実家へ帰りました。
会社の最終出勤日には、まだそこまで退職した実感が湧いていませんでした。
しかし、単身赴任先の家を引き払い、新幹線に乗ったとき、ようやく「終わったな」という気持ちになりました。
「もうこの新幹線に乗って戻ってこなくていいんだ」
新幹線の中で、まず思ったのは、
「もうこの新幹線に乗って、単身赴任先へ戻ってこなくていいんだ」
ということでした。
今まで何度も乗っていた新幹線です。休日に実家へ帰っても、また単身赴任先へ戻らなければなりませんでした。
でも、今回は違います。
もう戻ってくる必要がありません。
車窓から見える景色も、いつもとは反対側になりますが、「この景色を見るのも、これで最後なんだな」という感じがしました。
普通なら、寂しくて涙が出そうになるような場面なのかもしれません。
でも、私は全く涙が出ませんでした。
寂しさよりも、これからの生活への楽しみや嬉しさのほうが強かったからだと思います。
「もう仕事に行かなくていいんだ」
「これからは自分の時間を過ごせるんだ」
そんな気持ちのほうが大きかったのです。
家に帰ってからは、意外と普通だった
新幹線で実家に帰ってからは、特別なことがあったわけではありません。
単身赴任中も、休日には家に帰っていましたので、そのときとあまり変わらない感じでした。
妻から「長い間、お仕事お疲れ様でした」といった特別な言葉があったわけでもありません。
「あ、おかえり」
というくらいのもので、淡々と日常が始まりました。
私自身も、家に帰ってから何か大きな感動があったというわけではありません。
退職という人生の大きな区切りではありましたが、家に帰れば、いつもの生活がある。それだけのことでした。
私にとっての退職は、最後の新幹線の中にあった
振り返ってみると、退職の実感は一度にやってきたわけではありませんでした。
2月のイベントが終わったとき、気持ちは半分退職したような状態になりました。3月に後任の人と引き継ぎの挨拶をして回り、少しずつ仕事が終わっていくことを感じました。
最後の出勤日には、片付けをして、定時に終わり、同僚とお酒を飲みに行きました。
そして、単身赴任先の家を退去し、実家へ帰る新幹線の中で、初めて強く「終わったな」と感じたのです。
会社を辞めるときには、もっと寂しくなるのかもしれないと思っていました。でも、実際には、これからの生活への嬉しさのほうが大きかったですね。
私にとって早期退職は、何か特別なことを始めるためというより、まずは会社員としての生活を終えることでした。
あの新幹線の中で感じた、
「もう戻ってこなくていいんだ」
という気持ちは、今でもよく覚えています。
早期退職を考えている皆さんは、会社を辞める最後の日に、どんな気持ちになると思いますか? また、すでに退職された方は、どんな場面で「本当に辞めたんだな」と実感しましたか?


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