最近、消費税についてのニュースをよく目にします。
消費税を下げるとか、食品の消費税をなくすとか、いろいろな話が出ています。
そんなニュースを見ながら、私は単純な疑問を持ちました。
「消費税を下げたら、本当にその分だけ商品の値段は安くなるのだろうか?」
私は税金の専門家でも、経済の専門家でもありません。
ただ、どうも単純に考えると分からないことがあるんです。
そこで、自分なりに少し調べてみました。
近所の八百屋さんを見て疑問に思った
私の家の近くに八百屋さんがあります。
そこで野菜を買うと、たとえば100円なら100円です。
「本体価格○円、消費税○円」
というようなことは特に書いてありません。
そこで以前から、
「このお店は消費税を取っているのかな?」
と、なんとなく疑問に思っていました。
調べてみると、まず私の認識が少し違っていました。
消費者向けの価格表示は、原則として消費税を含めた総額表示です。
つまり「100円」とだけ書いてあっても、それが税込価格である場合があります。「税込100円」と書かなければならないわけでもありません。
一方で、一定の要件を満たす小規模事業者などには、消費税の納税義務が免除される制度もあります。
ですから、店頭に「100円」とだけ書かれていても、それだけを見て「この店は消費税を取っていない」と判断することはできないようです。
この時点で、
「やっぱり消費税って、分かりにくいな」
と思いました。
「消費税は消費者が負担する税」と言われるけれど
消費税について調べると、国税庁は、消費税は消費者が負担し、事業者が納付する税だと説明しています。
制度としてはそういう仕組みです。
一方で、現実の商品価格まで考えると、もう少し複雑なようです。
たとえば100円の商品があり、消費税が10%なら110円。
これだけ見ると、
「10円は消費者が負担している」
と考えれば分かりやすい。
でも、実際のお店はそんな単純に値段を決めているのでしょうか。
税率が上がっても、値上げできないこともあるのでは?
たとえば、ある商品を108円で売っていたとします。
消費税率が上がったので、本来なら110円で売りたい。
でも、110円にすると売れなくなるかもしれません。
隣のお店が108円で売っていれば、お客さんがそちらへ行ってしまうかもしれません。
それなら、108円のまま売ったほうが、結果として利益が出る可能性もあります。
そう考えると、
消費税率が上がったからといって、その分を必ず全部消費者に転嫁できるとは限らないのではないか。
私はそう思いました。
逆も同じです。
消費税を下げたら、本当にその分だけ安くなるのか
仮に、今108円で売られている食品があるとします。
そして消費税が8%から0%になった。
単純に考えれば、
108円 → 100円
になりそうです。
でも、本当にすべてのお店が100円にするでしょうか。
お店にも事情があります。
仕入れ価格が上がっているかもしれません。
人件費も上がっているかもしれません。
電気代なども上がっているかもしれません。
これまで値上げしたかったけれど、競争があるため108円で我慢していたのかもしれません。
そこへ消費税が0%になった。
お店が、
「では108円のまま売ろう」
と考えることだってあるのではないでしょうか。
私は、それが悪いとは思いません。
商品の値段を決めるのは、基本的にはお店だからです。
実際に消費税を下げた国ではどうなったのか
ここまで考えて、
「では実際に消費税に相当する税金を下げた国では、商品の価格はどうなったのだろう?」
と気になりました。
調べてみると、これがなかなか面白いんです。
国や商品、サービスによって結果がかなり違っていました。
ドイツのスーパーでは約7割が価格に反映された
ドイツでは2020年、新型コロナによる景気悪化への対策として、VAT(付加価値税)を一時的に引き下げました。
標準税率は19%から16%、軽減税率は7%から5%になりました。
ドイツのifo研究所が約13万点のスーパーの商品価格を分析した研究では、価格は約1.3%下がり、減税分の約70%が消費者価格に反映されたと推計されています。
また、競争の激しい商品ほど減税分が価格に反映されやすいという結果も出ています。
これは、私が最初に考えていた、
「他のお店との競争も関係するんじゃないの?」
という疑問ともつながります。
フランスのレストランでは約2割
もっと極端な例もありました。
フランスでは2009年、レストランなどのVATが大幅に引き下げられました。
もし減税分がすべて価格に反映されれば、価格は約9.8%下がる計算だったそうです。
ところがフランス国立統計経済研究所(INSEE)の研究では、長期的な価格低下は約2.4%。
**減税分の価格への反映は約20%**だったと推計されています。
税金を大きく下げたからといって、その分だけレストランの料金が下がったわけではなかったんですね。
フィンランドの美容院では約半分
フィンランドでは、美容院のVATを22%から8%へ大幅に引き下げた事例があります。
こちらの研究では、完全に価格転嫁された場合と比べて、実際に価格が下がったのは約半分程度でした。
このケースでは、販売量にはほとんど変化がなく、美容院側の利益が増えたことも報告されています。
では、消費税を下げても意味がないのか
ここで誤解してほしくないのですが、私は、
「だから消費税を下げても意味がない」
と言いたいわけではありません。
価格が少しでも下がれば、消費者にとってメリットがあります。
先ほどのドイツの例なら、減税分の約7割が価格に反映されています。
それなら消費者も恩恵を受けています。
さらに、IMFがユーロ圏17か国のVAT変更を調べた研究では、標準税率を変更したケースでは最終的な価格への反映率が約100%だった一方、軽減税率の変更では約30%でした。
つまり、
「消費税を下げても価格は下がらない」
と決めつけるのも違うようです。
下がることもある。
かなり下がることもある。
あまり下がらないこともある。
何を対象に、どのように税率を変えるか、市場の競争がどうなっているかなどによって違う。
調べれば調べるほど、
「消費税を下げれば、その分だけすべての商品が安くなる」
というほど単純な話ではないことが分かりました。
消費税を下げたのに「安くなってないじゃないか」とならないのか
そして、私はもう一つ気になったことがあります。
仮に食品の消費税が8%から1%になったとします。
ニュースを見た人は、
「7ポイント下がるんだから、商品もその分安くなるんだろう」
と思うかもしれません。
ところが実際にお店へ行ってみたら、思ったほど安くなっていない。
そうなったとき、
「消費税が下がったのに、なんで値段が下がってないんだ」
と、お店に文句を言う人が出てこないのかなと思うんです。
もちろん、実際にそういうトラブルが起きるかどうかは分かりません。
ただ、
「消費税を下げる=その分だけ店頭価格が下がる」
と思っている人が多ければ、誤解が生まれる可能性はあるように思います。
減税するなら、ここも説明したほうがいいのでは
もし本当に消費税を下げるのであれば、私は政府も、
「税率を下げても、すべての商品が同じ割合だけ安くなるとは限りません」
ということを、あらかじめ説明したほうがいいのではないかと思います。
ただ、これも難しいんですよね。
そんな説明を始めたら、
「え? 消費税って消費者が負担しているんじゃないの?」
「じゃあ誰が負担しているの?」
「税金を下げても安くならないって、どういうこと?」
となって、余計に分からなくなる人もいるかもしれません。
私自身、今回調べてみて、
「やっぱり消費税って、かなり分かりにくい税だな」
と思いました。
調べてみたら、思っていた以上に単純ではなかった
今回、私は消費税減税に賛成とか反対とか、そういうことを書きたかったわけではありません。
ニュースを見ながら、
「消費税を下げたら、本当にその分だけ安くなるの?」
と単純に疑問に思っただけです。
調べてみると、消費税は制度上、最終的に消費者が負担することを想定した税です。
しかし現実には、お店が税率分をすべて価格に転嫁できるとは限らない。
逆に減税されたからといって、その分がすべて価格低下として消費者に返ってくるとも限らない。
海外の実例を見ても、その割合はかなり違っていました。
だから私は、
「消費税は誰が負担しているのか?」
という一見単純な質問も、実際にはそれほど単純ではないのだと思います。
消費税を下げれば、価格が下がって消費者が恩恵を受けることはある。
でも、
「税率が7ポイント下がったんだから、商品もその分安くなって当然だ」
とは限らない。
もしこれから本当に消費税を下げる議論が進むのであれば、このあたりも私たち消費者が知っておいたほうがいいのではないでしょうか。
もっとも、それを理解しようとすると、また話がややこしくなる。
結局、今回いろいろ調べた私の感想は、非常に単純です。
やっぱり消費税って、難しい税ですね。


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