私は49歳のとき、会社を辞めました。
いわゆる早期退職です。
退職したときの資産は、約4,500万円でした。
あれから7年以上が経ちました。
今振り返ってみて、
「もう少し早く辞めてもよかったな」
と思うことがあります。
会社を辞めてからの生活が、私には合っていたからです。
日曜日の夕方に「ああ、明日から仕事か……」と思うこともありません。
朝起きて会社へ行く必要もありません。
自分の時間を、自分で好きなように使えます。
だったら、4,500万円も貯めずに、3,000万円くらいで辞めておけばよかったのか。
そう聞かれると、私の答えは違います。
今の知識を持ったまま当時に戻ったとしても、私はおそらく、
4,500万円を準備してから会社を辞めると思います。
「もっと早く辞めればよかった」
でも、
「4,500万円は必要だった」
一見すると矛盾しているようですが、早期退職して7年以上暮らしてみて、私はどちらも本当だと思っています。
もし1,500万円しかなかったら、私は辞めなかった
仮に49歳のとき、4,500万円ではなく1,500万円しか持っていなかったらどうしていたか。
おそらく私は、会社を辞めていません。
もちろん、仕事がつらくて死にそうなくらい追い詰められていたのであれば、話は別です。
そんな状態なら、お金よりも自分を守ることを優先して辞めたかもしれません。
でも、そこまでではないのであれば、もう少し働いていたと思います。
理由は簡単です。
1,500万円で辞めてしまったら、お金のことばかり考える生活になっていた可能性が高いからです。
我が家の場合、かなり抑えれば月15万円くらいで生活できます。
年間なら180万円です。
1,500万円の貯金があって、さらに何かで月5万円くらい稼げるのであれば、早期退職できないこともないと思います。
でも、かなりギリギリです。
「今月はいくら使った」
「来月も5万円稼げるだろうか」
「家電が壊れたらどうしよう」
「旅行に行って大丈夫だろうか」
そんなことをずっと考えることになったかもしれません。
それでは、会社を辞めても精神的にはあまり安定しなかったと思います。
「生活できる」と「安心して生活できる」は違う
早期退職について調べていると、
「○○万円あればFIREできる」
といった話をよく見かけます。
もちろん、計算することは大切です。
年間生活費がいくらで、何年生活するのか。
年金はいくらもらえるのか。
それを計算すれば、ある程度必要な金額は分かります。
ただ、実際に早期退職してみて思うのは、
「生活できる金額」と「安心して生活できる金額」は違う
ということです。
計算上は大丈夫でも、毎月ギリギリでは私は嫌です。
会社を辞めて仕事から解放されたのに、今度はお金に追われる。
それでは、私が求めていた早期退職とは少し違います。
私は、できるだけ何かに追われずに暮らしたかった。
そのためには、ある程度のお金の余裕が必要でした。
4,500万円あったから「稼げなくても大丈夫」と思えた
私が会社を辞めたとき、不思議とお金に対する安心感はありました。
会社を辞めれば、当然それまでの給料はなくなります。
それでも、
「この先、まったく稼げなくても何とかなる」
と思っていました。
退職前にライフプランを作っていたからです。
生活費だけでなく、将来必要になるお金も考えていました。
そのうえで4,500万円あれば何とかなると判断して、会社を辞めました。
ただ、もう一つ考えていたことがあります。
「そのうち何かで稼げるようになれば、もっと楽になるだろう」
ということです。
私の場合、それが投資でした。
「投資で稼げるから辞めた」わけではない
ここは、順番が大切だと思っています。
私は、
「投資で毎月これだけ稼げるから会社を辞めよう」
と考えたわけではありません。
そうではなく、
「投資で稼げなくても何とかなる。そのうえで投資から収入を得られれば、もっと楽になる」
という考えでした。
この二つは、似ているようでまったく違います。
例えば、生活するために投資で毎月10万円を絶対に稼がなければならないとします。
そうなると、
「今月は利益が少ない」
「もっと利益を出さなければ」
と焦るかもしれません。
利益を増やそうとして、必要以上にリスクを取ってしまう可能性もあります。
私の場合、4,500万円がありました。
投資でうまくいかなくても、すぐに生活できなくなるわけではありません。
だから時間をかけることができました。
安定して稼げるようになるまで数年かかった
会社を辞めたあと、私は投資で利益を出し、それを生活費に充てようと考えました。
ただ、最初から今のように安定して稼げたわけではありません。
数年かかりました。
いろいろ考えながら、自分に合った方法を探してきました。
そして現在は、投資からある程度安定して収入を得られるようになり、お金について悩むことはほとんどなくなりました。
もし退職時の資産が少なかったら、どうなっていたでしょう。
「早く稼げるようにならなければ」
と焦って、もっと無理な投資戦略を組んでいたかもしれません。
大きなリスクを取っていたかもしれない。
そうなっていたら、今のようになっていたかは分かりません。
振り返ってみると、
お金の余裕が、投資の余裕を作ってくれた。
そして、その投資の余裕が、今のお金の余裕につながったのだと思います。
だから、やっぱり4,500万円は必要だった
では、今の知識を持ったまま40代前半に戻れるとして、もっと少ない資産で会社を辞めるか。
私は、おそらく辞めません。
やはり4,500万円くらいは準備すると思います。
それだけあったから、安心して会社を辞めることができました。
それだけあったから、投資で焦らずに済みました。
それだけあったから、会社を辞めたあとも、必要以上に生活を切り詰めずに済みました。
私は、
「早期退職できる最低金額」
を目指していたのではなかったのだと思います。
欲しかったのは、
「早期退職しても安心して暮らせる金額」
だったのでしょう。
それでも「もっと早く辞めればよかった」と思う
ここまで書くと、
「だったら4,500万円を貯めて49歳で辞めたのだから、それでよかったのでは?」
と思われるかもしれません。
確かに、そのとおりです。
4,500万円まで貯めたことを後悔しているわけではありません。
それでも、
もっと早く辞められたらよかったな
とは思います。
では、どうすればよかったのか。
今振り返って思うのは、
もっと早くから投資をして、もっと多くのお金を投資に回していたらよかった
ということです。
私はサラリーマン時代、それほど多くのお金を投資に回していたわけではありません。
過去の株価チャートを見れば、もっと早くからまとまった金額を投資していれば、4,500万円にもっと早く到達できた可能性はあります。
そうすれば、49歳より前に会社を辞められたかもしれません。
ただし、これは完全に結果論です。
過去のチャートを見れば、何とでも言える
今なら過去の株価が分かります。
「あのとき買っていれば、これだけ増えていた」
という計算はいくらでもできます。
でも、当時の私は未来の株価を知りません。
大きく投資して、その直後に暴落していた可能性だってあります。
だから、
「もっと投資しておけばよかった」
とは思いますが、
「もっと投資していれば、必ず早く会社を辞められた」
とは言えません。
今だから言えることです。
当時は当時で、自分なりに考えてお金を貯め、4,500万円を準備しました。
結果的に、それが安心して早期退職するための土台になりました。
そう考えると、あれでよかったのだとも思います。
早期退職は「今すぐ辞めるか、5年働くか」の二択ではない
例えば、こんな人がいたとします。
「3,000万円あれば計算上は早期退職できます。でも、かなりギリギリです。あと5年働けば4,500万円くらいになりそうです」
私なら、
「あと5年、絶対に働いた方がいい」
とも、
「人生は短いから今すぐ辞めた方がいい」
とも言いません。
その人の状況によると思います。
仕事が本当につらくて、精神的に限界なのであれば、3,000万円で辞める選択もあるでしょう。
反対に、まだ働けるのであれば、もう少し働いて貯金を増やす方法もあります。
別に5年間すべて働く必要もありません。
あと1年。
あと2年。
その間に貯金を増やす。
同時に、会社を辞めたあとにも収入を得られる方法を探しておく。
そういう方法もあると思います。
「今すぐ辞めるか、定年まで我慢するか」ではありません。
その間には、いろいろな選択肢があります。
お金より時間が大切。でも、お金があったから時間を手に入れられた
私は今、お金よりも自分の時間の方が大切です。
だから、会社員に戻りたいとは思いません。
でも、これは、
「お金なんて必要ない」
という話ではありません。
むしろ逆です。
お金があったからこそ、私は会社を辞めることができました。
お金があったから、毎月の給料がなくなっても安心していられました。
お金があったから、投資でも焦らずに済みました。
そして今は、会社に自分の時間を売らなくても生活できています。
そう考えると、私にとって4,500万円は、単なる貯金ではなかったのかもしれません。
自分の時間を自由にするためのお金だった。
私は、お金を捨てて自由を選んだわけではありません。
お金を準備したから、自由を選ぶことができたのです。
早期退職に必要なのは「安心して暮らせる金額」
私は49歳で4,500万円を準備して早期退職しました。
7年以上たった今でも、
「もっと早く辞めればよかった」
と思います。
それだけ、会社を辞めてからの生活が自分には合っていました。
でも、
「だったら3,000万円で辞めればよかった」
とは思いません。
今やり直しても、おそらく4,500万円を準備します。
矛盾しているようですが、これが私の答えです。
早期退職に必要な資産額は、人によって違います。
生活費も違う。
家族構成も違う。
年金も違う。
そして何より、どのくらいのお金があれば安心できるのかも、人によって違います。
だから、
「○○万円あればFIREできる」
という数字だけで決めない方がいいと思います。
計算上、生きていけるかどうかはもちろん大切です。
でも、それと同じくらい、
会社を辞めたあと、お金のことばかり考えずに暮らせるか。
これも大切です。
私にとって、そのために必要だった金額が4,500万円でした。
もっと早く辞めたかった。
でも、4,500万円は必要だった。
そして、その4,500万円があったからこそ、今の自由な生活につながった。
早期退職して7年以上たった今は、そう思っています。


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