私は現在56歳です。
子供たちはすでに成人し、それぞれの生活をしています。
子育てが終わってずいぶん経ちますが、最近になって、
「子供が小さいころ、もっとお金のことを一緒にやっておけばよかったな」
と思うことがあります。
別に、お金について何も教えなかったわけではありません。
私なりにいろいろ教えました。
特に息子には、いろいろなことを経験させたり、教えたりしたつもりです。
それでも大人になった今を見ると、
「もっと違う教え方があったのではないか」
と思うことがあります。
もし子育てをもう一度やり直せるなら、私は子供と一緒にお小遣い帳をつけてみたいと思います。
そして、
「今月はいくら入った?」
「いくら使った?」
「いくら残った?」
そんなことを、一緒に数字を見ながら考えてみたい。
今になって思うのは、お金について言葉で教えるだけではなく、もっと一緒に管理する経験をすればよかったということです。
私が一番教えたかったのは「収入の範囲で生活すること」
お金の管理で一番基本になるのは、私はこれだと思っています。
入ってくるお金の範囲で生活すること。
収入以上に使い続ければ、お金はなくなります。
収入の中で生活して、少しでも残れば、それが貯金になります。
その貯金があれば、将来まとまったお金が必要になったときにも対応できます。
ものすごく単純な話です。
ところが、この感覚を身につけるのは意外と難しいのかもしれません。
私は今、自分の子供のお金の管理を見ていて、そう感じています。
大人になってから、
「収入の範囲で生活しなさい」
と言ったところで、なかなか変わりません。
それならもっと小さいころから、実際のお金を使いながら身につけてもらう方がよかったのではないか。
今はそう思っています。
「もっと厳しくすればよかった」とは少し違う
では、子供にもっと厳しくお金の教育をすればよかったのか。
私の感覚は少し違います。
厳しくするというより、
もっと寄り添って、一緒にやればよかった。
という感じです。
例えば子供にお小遣いを渡します。
それで終わりではなく、一緒にお小遣い帳をつける。
今月のお小遣いはいくらだったのか。
何にいくら使ったのか。
あといくら残っているのか。
毎月一緒に数字を見る。
そういうことを繰り返していれば、
「これを買ったら、残りはこれだけになる」
「今月全部使ったら、もうお金はない」
「少し残しておけば、来月に持ち越せる」
ということが、自然に分かったのではないかと思います。
もちろん、それで必ずお金の管理ができる大人になるのかは分かりません。
でも、もし子育てをやり直せるなら、私はやってみたいと思います。
当時は子供と過ごす時間が少なかった
こういうことを考えると、
「じゃあ、なぜ当時やらなかったんだ」
という話になります。
一つには、仕事があります。
私が働いていたころは、本当に仕事中心の生活でした。
今振り返ると、「24時間戦えますか」という言葉が象徴するような時代だったと思います。
早く家に帰って、毎日子供とゆっくり過ごせるような生活ではありませんでした。
子供と接するのは、週末の限られた時間が中心でした。
もちろん、その中でも私なりに子育てはしました。
お金についても教えたつもりです。
ただ今考えると、もっと時間を使って、
「お金はこういうものだよ」と説明するだけではなく、実際の数字を一緒に見ればよかった。
そう思います。
もしやり直せるなら「貯金に利子をつける」
もう一つ、今ならやってみたいことがあります。
子供が貯めたお金に、私が利子をつけることです。
例えば毎月、お小遣い帳を一緒に確認します。
今月のお小遣いがいくらだったのか。
いくら使ったのか。
いくら残ったのか。
そして残ったお金に対して、
「今月はこれだけ残ったから、お父さんが利子をつけるよ」
と少しお金を足してあげる。
全部使ってしまったら、残高はゼロです。
だから利子もゼロ。
でも残しておけば、そのお金に利子がついて増える。
これを何か月も繰り返してみる。
そうすれば、
お金は使えば減る。
残せば残る。
そして残したお金が、新しいお金を生むこともある。
ということを、子供自身が経験できます。
「貯金しなさい」と言うだけでは伝わらないかもしれない
子供に、
「無駄遣いしちゃダメだよ」
「ちゃんと貯金しなさい」
と言うのは簡単です。
でも、それだけで本当に分かるのでしょうか。
今になって考えると、私は少し疑問に思います。
自分でお金を管理して、
使って、
減って、
残して、
増えて。
そういう経験を何度もする方が、身につくのではないでしょうか。
例えば欲しいものがあって、お小遣いを全部使った。
それなら、その月の利子はゼロです。
そこで、
「全部使うなんてダメじゃないか」
と叱る必要はないと思います。
「今月は残っていないから、利子もないね」
それだけです。
反対に500円残っていれば、
「500円残ったから、今月はこれだけ利子をつけよう」
とする。
その結果を本人に見てもらう。
全部使うのか。
少し残すのか。
たくさん貯めるのか。
それは本人が決めればいいと思います。
全部貯金する子が正しいとも思わない
逆に、利子がつくことを知った子供が、
「じゃあ僕は何も買わない。全部貯金する」
となるかもしれません。
それがいいのかどうかは、私にも分かりません。
それはその子の性格かもしれません。
私は、
「お金は使わず、できるだけたくさん貯める人間になってほしい」
と思っているわけではありません。
お金は使うためのものでもあります。
私自身、今は旅行にも行きますし、外食もします。
ライフプランの範囲なら、やりたいことにはお金を使います。
だから子供にも、「使うことは悪い」と教えたいわけではありません。
ただ、
使えば減る。
残せば次に使える。
残したお金を増やす方法もある。
その仕組みを知ったうえで、自分で決められるようになってほしい。
私が教えたかったのは、そういうことだったのだと思います。
同じように育てても、同じようには育たない
子育てを振り返っていて、今でもよく分からないことがあります。
私は娘にも息子にも、いろいろなことを教えてきました。
むしろ息子の方に、いろいろ教えたり経験させたりしたように思います。
それでも大人になってみると違います。
娘は自分でしっかりやっています。
一方で息子については、
「なぜ分からないんだろう」
と思うことがあります。
同じ親が育てています。
それでも同じようにはなりません。
だから子育ては難しいのだと思います。
結果が出なかった以上、自分の育て方にも問題があったと思う
私は、
「自分はできることを全部やった。だから親には何の責任もない」
とは思っていません。
自分が思いつく限りのことは、やったつもりです。
それでも、結果としてうまく伝わらなかった。
だから私は、
親として、自分の育て方にも何か問題があったのだろう
と思っています。
ただ、
「では、具体的に何をすればよかったのか」
と聞かれると、今でもよく分かりません。
もっと厳しくすればよかったのか。
もっと自由にすればよかったのか。
もっとお金を渡せばよかったのか。
渡さなければよかったのか。
正解は分かりません。
ただ一つ今思うのが、
もっと時間をかけて、一緒にお金を管理すればよかった
ということです。
今だから思えることで、当時できたかは分からない
56歳になった今なら、いろいろなことが見えます。
でも、それを当時の自分にそのまま求めるのも難しいと思います。
あのころの私は仕事をしていました。
平日は仕事に追われ、子供と過ごせる時間も限られていました。
今の私は早期退職して、時間があります。
だから、
「毎月一緒にお小遣い帳をつければいい」
「残ったお金に利子をつければいい」
と簡単に言えます。
でも当時の生活の中で、それをずっと続けられたか。
それは分かりません。
だから、
「あのときこうしておけば、絶対にうまくいった」
とまでは思いません。
孫には勝手にやらない
最近、4人目の孫が生まれました。
では、今度は孫にこの方法でお金を教えようと思っているのか。
そこは少し違います。
孫の教育をするのは、基本的にはその親です。
私が祖父だからといって、勝手に教育方針に口を出すつもりはありません。
もし将来、
「残ったお小遣いに、おじいちゃんが利子をつけてみようか」
ということをするにしても、まず親である子供に聞きます。
それで、
「やってみたら」
となれば、やってみるかもしれません。
今回考えているのは、孫をどう教育するかという話ではありません。
もし自分の子育てをもう一度やり直せるなら、私はどうするだろう。
そう考えたときの話です。
子育てに正解は、今でも分からない
子供が大人になれば、
「あのとき、もっとこうしておけばよかった」
と思うことは出てきます。
私にもあります。
特にお金については、もっと丁寧に教えればよかったと思っています。
ただ、本当にそうしていれば今と違ったのか。
それは分かりません。
同じように育てたつもりでも、子供によって違います。
親が一生懸命教えても、伝わらないこともあります。
反対に、それほど教えなくても自分でできるようになる子もいるのでしょう。
だから私は、56歳になった今でも、
「子育てはこうすれば正解だった」
という答えを持っていません。
ただ、もし一つだけやり直せるなら。
私は子供の隣に座って、お小遣い帳を開きます。
「今月はいくら入った?」
「何に使った?」
「いくら残った?」
そんな話をしながら、一緒に数字を見てみたい。
そしてお金が残っていたら、
「残したお金には、今月はお父さんが少し利子をつけよう」
と言ってみたいと思います。
それで子供の将来が変わったのかどうかは分かりません。
でも、言葉で「貯金しなさい」と教えるだけではなく、お金を管理する経験をもっと一緒にしておけばよかった。
子育てが終わった今、私はそんなことを思っています。


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